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「This week in Hotwired Japan」 後書き

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●12/21/2004

 先週の木曜日にお知らせするという急な展開でしたが、「Hotwired忘年会」にお越しいただいた読者のみなさん、ありがとうございました! また(たぶん)機会を設けますので、ご参加いただけなかった方々も、次回は是非。
 今年は、ソーシャルネットワーキングサイトが、大きなブームとなったが、人と人との関係を積極的に仲立ちするツールとして、ネットが再認識された年だったともいえるだろう。ネット内での匿名性の問題が、法との軋轢を生み出している一方で、個人と個人の‘信頼’のネットワークの存在が、重要さを増している・・。この流れは、来年も続くのだろう。
 あなた個人にとって、より「信頼」のおける‘場’となるよう、来年も頑張りたいと思います。今年の「三丁目通信」もこれで最後。みさなん、今年1年ご愛読いただきまして、ありがとうございました。よいお年をお迎えください! 


●12/14/2004

 去年がブログなら、今年はソーシャルネットワーキングサイト。で、来年は・・音声ブログ、だろうと予感する。以前ここでも紹介した「デジオ」はますます盛り上がっていて、ipodに自動でデータを転送してくれるpodcastingにも対応してくれているので、ちょっとした時間にipodで聞けるのも楽しい。
 面白そうだと感じたのものは、できるだけ自分でもやってみたいと思っているわけだが、ICレコーダー片手に、何か語り始めようとした途端、あまりの恥ずかしさに硬直。う〜む。やはり、向き不向きがありますか(^^;)。
 もう少し慣らし運転してから、そろ〜りと始めてみるつもり。


●12/7/2004

 今年は、夏から体調が絶不調。軽いめまいと下痢がなかなか治まらないのだ。ちょうど区民健康診断の案内が来たので受けてみる。で、ある数値が、要医療の範囲まで急上昇していることが判明。ドキドキ。
 そこで、医師の先生とこんな会話。
「今度、もうちょっと詳しい検査してみましょう。でも、大きな声じゃ言えませんけど、私のほうがもっと悪い数値ですよ(笑)。」
「はぁ。」
 ・・・先生、それってあんまり笑えません・・(^^;)。
師走の忙しいこの季節、みなさんもお身体にはお気をつけて。


●11/29/2004

 まだ数度見かけただけなのだが、NHK教育の子供向けエデュテイメント番組「にほんごであそぼ」(毎週月〜金曜午前8時:再放送午後5時35分)が凄い。すでに昨年の4月から放送しているようなので、一部で大きな評判になっていたんだろう。野村萬斎がかなり本気というか、‘日本語を楽しむ’という形をとりながら、狂言のダイナミックな表現のエッセンスを凝縮している。各地の方言で語られる宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」の暗唱もとんでもなく力強い。小錦と子供たちの掛け合いも楽しい。圧倒されるまま10分の番組が終わる。それに、番組全体のデザインが素晴らしい、と思ったら、今年のグッドデザイン賞大賞受賞だった。最近のNHKの番組作りには疑問に思うことが多いけれど、教育はかなり頑張っているように思う。


●11/23/2004

 今出ている雑誌『編集会議』の12月号、「パーソナルメディアで情報発信 “一人編集長”入門」という特集で取材していただく。企画の意図としては、blogの一般化で、大量に出現した“編集長”は、既存のメディアの“編集長”と同じと言えるのか、という点だった・・と思う(たぶん)。
 流通段階で、媒体数が制限される出版と違い、ネット上のコンテンツは、ネットに上がっている段階ですべてが等価だ、というのが、基本的な僕の考えだ。そういった状況だからこそ、編集を職業とする者として、何をなし得るのかということを日々突きつけられていると思う。で、誰もが記者・編集者になりえるこの時代、職業としての編集者に可能性があるのか、という点については・・ご興味のある方は、雑誌をご覧ください。
 Hotwiredもまさに‘一人編集者体制’になって数年になる。結局、個人として何ができるのかが、よりシビアに問われる時代であることは間違いない。


●11/15/2004

 以前ある会合で「かつてインターネットは、動画や音声が主役となる、と言われていたけれど、今、ますますテキスト(文章)が読まれている。ブログ・ブームでその傾向に一層拍車がかかった」と言ったことがある。いっぽうで、「テキストだけがいつまでも主役でいるわけはなく、これからグラフィックを使ったインターフェイスや音声、動画がさらに重要な時代が来るはず」とも話した。
 だが、多くの一般ユーザーが、音声や画像を身近に編集加工し、誰もが気楽にネットにアップするブログのようになるにはしばらくかかる、と思っていたのだが、すでにその兆しは現れているようだ。タナカカツキ氏が始め、伊藤ガビン氏が参加している「デジオ」< http://dedio.jp/ >は、まさに音声ブログ的に盛り上がっているし、アメリカの大統領選前にレッシグ教授が始めたp2p-politics.orgは、気ままな政治ネタ動画で溢れている。来年は、音声・動画ブログの時代がやってきそうな予感。


●11/8/2004

ケーブルの「時代劇専門チャンネル」で、石ノ森章太郎原作のモノクロアニメ「佐武と市捕物控」を目にして、圧倒される。映画のようなカット割り、しっかりとした脚本、そして、墨絵を思わせる背景、重厚な音楽。総監督はりんたろう、音楽は「水戸黄門」や「ルパン三世」の山下毅雄。大人向けの、それも、実写の時代劇を越えるアニメを作ろうという製作者に強い意志が感じられた。コマ数は少なくても、CGを使わなくても、こんな素晴らしいアニメができるのだ。惜しむらくは、実写の時代劇は確かに超えているが、やや形骸化した「時代劇」の枠を超えるまでには至っていないところか。1968年、夜9時台に放映されていたという。こんなアニメがあったなんて。


●11/2/2004

 新潟で震災に会われた方々が、疲労と心労の中、時に笑みさえも浮かべてマスコミに対応する様子には、本当に関心するばかり。神戸の時も、極限状態でも取り乱すことなく淡々とできる(してしまう)被災者の様子に、海外のマスコミが驚いていたようだが、その心情がなかなか理解しづらいのだろう。天災を受け入れる姿勢には、日本人の自然観が背景にあって、その自然観は、頻繁に起きる災害によっても形作られてきたに違いない。人の力はあまりに小さい・・。

 しかし、自動車での不自由な避難生活のために亡くなられる方がいるというのは本当に悲しい。これは天災ではない。やはりいざという時、政府はあてにならないことを再認識する。神戸での教訓は、ほとんど活かされていないようだ。
 では、個人として何ができるのか。98年にそんな思いに駆られて「サバイバル・テクノロジー 〜そこにある「危機」を生き抜くための技術」という特集を組んだことがある。
< http://hotwired.goo.ne.jp/matrix/9801/ >
< http://hotwired.goo.ne.jp/matrix/9801/text_only/index.html >
 その中で「緊急事態に備えて5つだけモノを用意するとしたら、あなたは何を手にしますか?」というアンケートを各界の方にとっているのだが、あらためて、今、自分だったら何を手にするだろうと考え直す・・。


●10/26/2004

 新潟で震災に会われた方々に心からお悔やみお見舞い申し上げます。

安否情報の確認には、NTTドコモをはじめ、blogを使って草の根的に情報を整理するなど、ネットが有効に活用されているようだ。個人的には、ユーザーの要望に迅速に応え、「ポイント」を寄付できるシステムをつくった「はてな」の対応がすばらしいと思った。 こうしたユーザーに要望に素早く対応し、できること、できないことを明らかにしつつ、改善できることは徐々に改善していく・・という開かれた姿勢が、ネット・コミュニティとしてこれだけの支持を得ている理由なのだろう。そして、その中心となっている社長の近藤さんのソフトな人柄が、そんな対応を通じて感じられるのが大きい。
はてな義援金窓口 < http://d.hatena.ne.jp/hatenacontrib/ >


●10/19/2004

 去年の9月に出版された青木日照+湯川鶴章著『ネットは新聞を殺すのか』をようやく読む。著者が報道機関に身を置く方、ということで、ネットの事象を見下しつつ、表面的な分析を加えるぐらいのありがちな内容ではないかとかってに考えていたのだ。恥ずかしい。
 これからのジャーナリズムの形はどうなるのか、という点をテーマにして、ブログ対ニューヨーク・タイムズや、日本の草の根ジャーナリズムとしての2ちゃんねる、といった視点も面白い。なにより際だつのは、今起きている急激なメディアの変化のただ中で、「報道機関は、生き残ることはできるでしょうか?」と訊ねる著者の真摯な姿勢だ。そこで、「参加型ジャーナリズムの確立」に可能性を見いだすというのも素晴らしいと思う。  参加型ジャーナリズムといえば、Hotwiredでも、03年1月に「独立系オンラインメディアの台頭」という特集をして主にIndymedia.orgを紹介している。(http://hotwired.goo.ne.jp/matrix/0301/)  先週、イギリスのIndyMediaのサーバーがFBIに差し押さえられたらしい。2000年のシアトルのWTO会議以来、アメリカ政府に目を付けられていただろうが、ついにきたか、という感じだ。


●10/13/2004

10月1日からHotwired Blogをスタートしている。好意的な反応も少しいただき嬉しい。また、いっぽうで、ずいぶん前からブログについて特集したりニュースで紹介しながら、やっと始めるんですか、という声も聞く。確かにおっしゃるとおりなのだが、以前から(98年)から、OpenDiaryというコーナーでウェブ日記の連載企画があったのだ。http://hotwired.goo.ne.jp/opendiary/
執筆者の方にあるアドレスにメールを送っていただくと、その内容が自動的にHotwiredのウェブに反映される、というシステムを自前で作って、日記形式にまとめていた (News Watchers' Talkも同様のシステム)。コメントやトラックバックはないけれど、これもある意味ブログでしょ? そんなこんなで、「ブログ」開始が遅れましたが、お三方には、刺激的な投稿を続けていただいています。ぜひ、ご一読を!


●10/5/2004

 先日、JAGAT技術フォーラム主催の‘10年後の「読者」像’というシンポジウムにパネラーとして参加させていただく。モデレーターは、『本とコンピュータ』の仲俣暁生さんで、パネラーは、「はてな」の近藤淳也さん、深水英一郎さん、東浩紀さんだ。「この業界で、10年後のことなどわかるわけがない」という気持ちもあって、戸惑ったのだけれど、まず僕がウェブマガジンを始めた95年を振り返り、どんな意図で、何を作ってきたのか、特に失敗例を列挙しながら説明する(^^;)。
 技術の変化とともに、「読む」という慣習や、読者との関わりも、徐々にだけれど、けっこう大きく変わってきている。なんだか、そんな感慨にもふける。10年後のことはわからないが、少しでも前に進むべく、Hotwiredもリニューアル。以前連載していた「先端人公開日記」もblogツールを使って、新たにスタートしています。ぜひ、ご一読を!


●9/28/2004

 以前からヨーロッパのライフスタイルに興味があって、今回は熊谷徹著『びっくり先進国ドイツ』を手に取る。
「ほとんどのドイツ人は、日本人ほど洋服や靴にお金をかけない」
「また強いブランド志向は、ドイツには存在しない」
「ドイツ人が比較的金をかけるものといえば、住宅と旅行だ。日本に比べると労働時間が短く、自宅で過ごす時間が長いので、快適な住環境は重要なのである。だが住宅についても、自分の手で修繕して費用を抑えようとする」
 似た話は、オランダの生活を描いた本でも目にしたが、「住宅と旅行」には比較的金をかける、という価値観に強烈に興味を引かれるのだ。労働時間の短さや、寒冷な気候がその理由として上げられることが多いけれど、どうも納得できない。
 住環境が劣悪、と長年言われている日本でも、ここ数年、インテリアや建築、リフォームがブームになっているが、同様の価値観が芽生えているのか? お金の使い方は徐々に変わっていくのだろうか? よくわかりません。


●9/22/2004

 先週、ここで西村清彦・峰滝和典著『情報技術革新と日本経済』の中から、「生産性の上昇に好ましくない影響を与える‘ニュー・エコノミーの影’が1990年代日本経済の多くの分野を覆っていた」という話を紹介したのだが、そこには続きがある。
「問題は、製造業、とくに広義のサービス業においてITの生産性上昇をもたらしていない点であった。その典型が・・ソフトウェア産業である。」という指摘だ。日本のソフトウェア産業の生産性、国際競争力は、これからますます問題になってくるだろう。
そんなことを考えていたところ・・先日出版された前川徹著『ソフトウェア最前線』は、ちょうどこうした日本のソフトウェア産業の問題にフォーカスしていた。プログラマの報酬・待遇のあり方、開発モデルの現状と問題・・。「関係者は日本のソフトウェア産業が衰退の危機にあることを強く認識し、早急に行動を起こす必要がある」と訴える。
 この問題、じっくり考える必要がありそう。まずは、問題のありどころを正確に認識することが重要だ。


●9/14/2004

 西村清彦・峰滝和典著『情報技術革新と日本経済』を読む。
 ITが経済にどんな影響を与えるのか。以前から多くのことが言われてきたわけだが、欧米の分析を参考にしつつ、日本の状況を詳細に検証していて、これは決定的、という感じ。経済の専門的な分析計算も多くて、けっこう読み飛ばしたけど。
「情報通信技術による広範囲にわたる生産性の上昇、いわゆる「ニュー・エコノミーの光」は、日本では今のところ幻にすぎないということである。それどころか、情報通信技術革新が、従来日本が優位にあったノウハウや人的資源の価値を低めることで、逆に生産性の上昇に好ましくない影響を与える「ニュー・エコノミーの影」が1990年代日本経済の多くの分野を覆っていた、ということである。・・ITに付随するモジュール化、コピーの容易さが、第二次大戦後の急速な日本経済の発展を支えてきた「ものづくり」、そしてそのもととなる長期関係のもとでの「ものづくり」の優位性を脅かしてきたのである。
 このことを頭に入れると、現在の「e-Japanで日本を変える」という構想は、残念ながら単純で貧困な発想ととられかねないことも明らかであろう。」
 う〜む、唸るばかり・・。


●9/7/2004

eメールがたいへんだ〜。
メールアドレスをいろんなところで公開していることもあって、ゴミメールがもうたいへん。スパムやウィルス、それにプロバイダーのウィルス削除通知メールも加わって、膨大なゴミの中に、必要なメールが埋もれそうだ。メーラーのフィルター設定と追いかけっこ状態で、この手間もばかにならない。
それに、返事のメールをもらうのが、以前より遅くなっている。関係者の皆さんに無理をお願いしたりすることだけが原因ではない・・と思う。ライターのみなさんも同じような状態なのだろう。というわけで、メールの効率が、急激に下がってきている。
大げさにいうと、「危機」と言ってもいいかもしれない。eメールは、仕事の仕方を激変させたけれど、そろそろ抜本的な解決策を考えないとヤバイ・・。


●8/31/2004

 激しい暑さもオリンピックも過ぎ去って、ヨロヨロの体調だけが残った・・(^^;)。
 さて、國領二郎著『オープン・ソリューション社会の構想』を読む。全体としては eジャパン戦略II の国領バージョン?という感じで、コンピュータネットワークの利点を活かして日本を活性化させる道筋を提案しているのだが、個人的には、第9章の「知的協働の誘因設計」をとても面白く読む。特に、情報財の収益モデルを考える上で「希少性」について考えるのだが、人間の認知限界を希少な資源とする部分が印象に残った。
「情報量が増えれば増えるほど、人間の認知能力が希少な資源となってくる。収益モデルを構築する上で機械がボトルネックであった時代から、人間がボトルネックとなる時代への転換期を迎えていると表現していいだろう。」
 ちょうど同様のことをこのところ考えていたのだ。この点を積極的に意識したビジネスがこれから活性化する気がする。


●8/24/2004

 予定外の夜更かしを重ねてます・・(^^;)。
 シドニー大会でも、こんなにテレビ中継してたっけ?メディア・コンテンツとしてのスポーツの位置づけが、今後ますます大きくなりそうだ。
 日本人のライフスタイルや産業構造が転換期にある今、娯楽・芸術・スポーツが、生活により密着する形で経済にも影響を与えつつより重要な存在になっていきそう。スポーツを「見る」だけでなく「して楽しむ」人も確実に増えている。地域スポーツ振興を唱ったJリーグの百年構想は、先見の明があったと言えるだろう。短期的な経営の視点だけを優先させているプロ野球は、時代の気配を感じてない。その意味で、音楽産業も、本来、似通った需要があるはずなのだが、CCCDや輸入権といった対処法は、なにか低迷するプロ野球のようで悲しい。
 そういえば・・石油価格の高騰が気になる。産油国と大国の政治的かけ引きで、世界中が右往左往させられる日々はいつまで続くんでしょうか・・。


●8/17/2004

 いつも不規則な生活ではありますが、さすがに先週から度を超してる感じでヤバイです。このところの夏バテも重なって、ときどきめまいが。しかし、身体のことを考えると、男子サッカーがGL突破しなかったのもよかったのかもしれませんね・・泣。
 さらに、半端じゃない数になってきてるスパムメールの掃除とフィルター作りに追われて、仕事の能率が下がる下がる・・。
 こんな暑苦しい夏には、PCの前やケータイの電波から少しの間離れてみるのもいいかもしれませんね。そして、気分を入れ替えてまたガリガリ始めましょう。みなさん、体調など崩されませんように。ご自愛ください。


  ●8/3/2004

 民主党のケリー上院議員が、最近の演説で「Let America Be America Again(アメリカを再びアメリカにしよう) 」というラングストン・ヒューズの詩を頻繁に引用しているという。気になったので検索してみた。
  「Let America Be America Again」
 Let America be America again.
 Let it be the dream it used to be.
 Let it be the pioneer on the plain
 Seeking a home where he himself is free.
 (America never was America to me.)
 Let America be the dream the dreamers dreamed--
 Let it be that great strong land of love
 Where never kings connive nor tyrants scheme
 That any man be crushed by one above.
 (It never was America to me.)
〜〜〜(略)〜〜〜
 とても力強い詩だ。選挙戦の中でこうした建国の理念・理想に立ち返ろうという力が働くのも、やはりこれも‘アメリカ’。いやぁ、大統領選の行方はどうなるんでしょうね。


●7/27/2004
秋山東一著『Be-h@usの本』が出版された。ついに、というか、ようやく、というべきか。Be-h@usは、そのすばらしい機能や拡張性、ユニークな発想にも関わらず、これまであまり大々的にPRされず、ウェブサイトでの情報に限られていたためか、なかなか広く一般の認知を得られていなかった。(その面白さを手っ取り早く知りたい方は、建築家・秋山さんへのインタビューをどうぞ。
Be-h@usは、日本の風土にあった木の高機能住宅システムで、その発想法はコンピュータ・カルチャーから大きな影響を受けてもいる。建築家や施工業者、住宅を持ちたいと思っている人、などが集ったオンライン・コミュニティも形成されていて、「伽藍とバザール」のバザール方式で進化させていこうともしている。
日本ではさまざまな事情から、「住宅」にまつわる世界を重苦しくいびつなものにしているが、その重苦しさから開放することをBe-h@usは目指しているわけだ。バザール方式だから、多くの人がいろいろな形で参加するほど、よりよい成果が得られるだろう。気になった方は、ぜひ本を手にとってみてください。


●7/21/2004

あ〜涼しい。もう意地でも暑いなんて言いません(^^;)。
18日のNHKスペシャル「トラック・列島3万キロ」を見て驚く。近年、急激に変わったサービスのひとつが宅配だ。遠距離でも以前では考えられなかったほど短時間に届けられるようになったし、時間指定などの新しいサービスが次々生まれてきた。それにオンライン・ショッピングの増加は、その分宅配の需要を増やしているだろう。また、在庫を持たないジャスト・イン・タイム生産が可能になったのもトラック物流が、さまざまな需要に対応してきたからだろう。そのトラック物流の現場がどうなっているのか・・。このドキュメンタリーで観た現実は、想像以上に過酷なものだった。
運賃相場が下がる中、荷主の配達時間厳守の要求は厳しくなるいっぽう。さらに、トラック会社はスピードリミット装置を取り付けることで、「安全運転」を顧客獲得のウリにしようとする。会社が決めた走行スピードを守りながら、荷の配達時間を守るために、トラック運転手は休憩時間を削るしかない。交差点の信号が赤の間、ハンドルに突っ伏して寝ていた。
ネットでの情報取引が進んでも、モノの移動の省力化は難しい。トラック物流は、今の日本の社会を陰で支えている産業であることは確かだ。顔に深くシワが刻まれたクリント・イーストウッド似のベテラン運転手がカッコよかった。


●7/13/2004

先週は暑かったですね〜。東京はもう亜熱帯です。‘脱スーツ運動’を推進したいと思いましたよ。開襟シャツを正装と認めよう!運動。・・って僕は、Tシャツ短パンなんですけど。すみません。
さて・・近頃、オール電化マンションの広告をよく目にする。IHクッキングヒーターも人気だ。すべて電気の生活も、なにかスマートな感じでいいなぁ、と思いつつ、光熱費がたいへんだろうと思いちょっと調べる。
すると、オール電化マンションは、一般家庭よりも光熱費が2割〜3割安くなる、という記事をみつける。え〜、ほんとか?
その仕組みは、オール電化マンション向けの電気料金メニュー「電化上手」と「全電化住宅割引」によって安くなるらしい。
電力会社が、いつになく必死の気配だ。どうも、電力自由化が徐々に進む中、今年の4月から500KW以上の大口利用者までが自由化されていて、その分野での目減り分を挽回するために、一般小売り分野に力を入れているようだ。一般化向け小売りの自由化は、07年以降に‘検討’される。それまでになんとか一般過程での電気利用を増やそうということだろう。
う〜む。もう少し先には、家庭用燃料電池+コージェネレーションという選択肢も現実化するはず。その時の原料はガスだろう。その時、ガス管引いてない、オール電化マンションは大丈夫なのだろうか・・。いずれにせよ、電力自由化で始まったこの競争。小売り自由化も、07年に検討とか言わずで、早く実施してほしいものだ。


●7/6/2004

先週、老後の生活に対する「不安」が、今の日本社会に大きな影を落としていて、その中心は「年金問題」だと書いたけれど、実はその実態をちゃんと理解していなかったので勉強してみる。
日本経済新聞社編『年金を問う』と原田泰『奇妙な経済学を語る人々』を読む。後者では、
「日本の受給額は2000年改正後においても、スウェーデン、イギリス、アメリカに比べて非常に高水準である・・。スウェーデンでも、日本の53.4%であり、イギリスでは、29.6%である。購買力平価により円換算して比較し・・、この場合でも、日本の受給額はやはり世界一高い。」
「年金を減額しても、給付が確実になれば、むしろ生活不安はなくなるはずだ。確実なものは不安定なものよりも価値がある。・・
 また、人口減少そのものが生活の豊かさに直結する。過密状態が緩和されれば、住環境や交通混雑は改善される。ただし、私たちは人口減少社会にふさわしい社会資本の整備を進めなければならない。」
なんだかビックリすることが多い。年金受給額に関しては、常識と思っていた情報とあまりにかけ離れているので、さらに調べる必要がある・・。
今度の選挙の争点は、「年金問題」ということなっている。各政党の公約をもう一度読み直してから投票に行こうと思う。


●6/22/2004

 旅好きなのだけれど、なかなか出かけられない鬱憤が溜まってきていて(^^;)、紀行本を読む。クォンタム・ファンドのジム・ロジャーズが、3年かけて自動車で世界を旅する『冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見』は、いわゆる紀行モノと各国の経済情勢分析が適当なバランスでミックスされていて、とても面白い。
 アイスランドから、ヨーロッパ、ロシア、韓国、日本、中国、東欧、アフリカ、中東、インド、東南アジア、オセアニア、南米、北米とまさに世界中を走るわけだけれど、ここで主に描かれているのは、東欧、ロシア、中国、アフリカ、中東、南米のエマージング市場だ。各国の通信・交通のインフラや官僚機構の硬直度、金融システムの開放度を体験しながら、どこに投資していくかを決めていく。彼は戦争を激しく嫌うが、それは反戦思想を持っているからというよりも、投資家として大きなリスクを伴うからだ。そのあたりの「投資家」としての判断基準がしっかりしていてわかりやすい。
 1999年から2002年までの旅だったため、ちょうど、911を旅先で経験しているが、アメリカ人の多くが、世界についてほとんど何もしらず、気にもしていないと嘆く。物事を長期的にかつ客観的に見る視点は、投資というシリアスな目的のために培われたものでもあるのだろうが、「旅」のひとつの楽しさを実感させてくれる。


●6/29/2004

 28日の朝日新聞に「金銭的に不安のない老後を迎えるために、政府はその役割を果たしているか」という質問を世界各国で調査した結果が出ていた。「よくやっている」と答えたのが、中国61%、インド52%、チリ45%、イタリア13%、イギリス15%、・・日本は8%。
 さらに「退職後の基本的な支出をまかなうだけの資金を持てると思う」という質問では、中国、インド36%、イタリア8%、フランス13%、日本3%。
 どれほど‘実態’を伴った数字なのかはわからないが、老後の生活に対する「不安」を反映していることは明らかだろう。この漠然とした「不安」が、今の日本社会に大きな影を落としている。
 今度の選挙では、年金問題が大きな争点だ。この複雑な制度が、クリアでより公平な形になっていけばいいけれど、最終的な課題は「年金」というよりも、この「不安」をどうやって解消するかだろう。そこには、老後の働き方や住宅取得、介護、地域共同体などさまざまな問題が関わってくるはず。これらの問題を一つ一つ引き剥がして漠然とした「不安」を解消していくのはなかなか大変だ。


●6/15/2004

 2000年に廃刊になっていたアメリカの写真週刊誌『LIFE』がこの秋から復刊されるという。書店で目にすることがなくなって、あらためてその存在の大きさを感じていた。2000年からこれまで、この雑誌が存続していれば、大きな影響力を持ったに違いない事件があまりに多い。そうした時代の要請を、TIME社も感じ取ったのだろう。それに、国内だけでなく、世界で何が起きているのかを、わかりやすくビジュアルでアメリカ国内に伝えるのは、今、とても重要なことだと思う。
 廃刊から復刊の経緯を考えると、タイムワーナーとAOLの力関係の変化が如実に現れていて面白い。タイムワーナーとAOLが合併が電撃的に行われたのは2000年年頭。ドットコム企業がオールドメディアを買い取ったとして話題になったわけだが、その後『LIFE』は、赤字部門縮小ということで廃刊。ところが、2003年の9月には、AOLの業績不振から社名AOL Time Warnerから「AOL」が削除された。そこで、また『LIFE』が復活、ということだろう。何かTIME社の思い入れが感じられる。
 今回は、書店売りではなく、50の新聞の金曜日版に織り込まれる予定で、手にする読者は2600万人。復刊がひじょ〜に楽しみだ。


●6/8/2004

 NHKスペシャルで「中国特需」を観る。中国が日本の輸出景気を支えている、という話なんだけれど、ちょっと前まで盛んに喧伝されていた中国脅威論はどこへ行ったんだろ。経済をめぐる言説は、節操がないというか、行き当たりばったりというか、百家争鳴状態で何を信用していいのかなかなか難しい。
 そんな不満を持っていたところに、飯田泰之著『経済学思考の技術』を読む。この本の最終目標は、‘「経済学思考」を身につけ、それに基づく経済原則を知り、自分の手で現実の経済・ビジネスを考える実践力を身につける’というもの。「論理的思考」「経済学入門」「日本経済の分析」の3つ方向から構成されていて、とてもわかりやすい。‘経済学を楽しみ’‘経済学を使う’ことを味わうという姿勢もいい。経済に関心を持ったらまず最初に読むべき教科書とも言えそうだ。
 こんな啓蒙書が多くの分野で書かれるといいのだけれど。次は法学に期待したいな。


●6/1/2004

 木村忠正著『ネットワーク・リアリティ』を読む。豊富な調査データを基に、中国、韓国、アメリカと日本のネット利用の実態を浮かび上がらせている。特に、韓国との比較はめちゃ面白い。この調査によると、日韓の学生ともに、コミュニティサイトによくアクセスするのだが、その利用形態がかなり異なる。日本では、ネットを匿名空間と認識し、個人情報をあまり出さず、オフ会に参加するということもないが、韓国では実名利用とオフ会が盛んのようだ。
「韓国では、インターネットが社会的ネットワークを拡大したり、既存の社会的関係を強化する空間として昨日する方向を持っているが、日本社会ではそれが欠如していることを意味している。」
「日本社会において、コミュニケーション主体が「カプセル化」していくなかで、対人関係の心理的距離が携帯文字通信による距離感覚を基準値にしつつあるからではないだろうか。」
と、頷く指摘が多いのですが、そんな中、Hotwiredのラウンジユーザーのオフ会に呼んでいただき、参加する。頻繁に飲み会などがあるようなので、すでにいわゆる‘オフ会’という感覚とは違う関係ができている、とのこと。ラウンジには、こちらの手抜かりでなかなかメンテナンスが行き届かないのだけれど、こうしたネットワーク形成にお役に立てたのは嬉しい限り。なんだか、ひさびさにホッとした気分になる。


●5/25/2004

 輸入音楽CD規制の動きやWinny開発者逮捕といった事件に直面すると、改めて私たち日本人と法との関わりについて考えざるを得ない。著作権法に対してのレッシグ教授などの動きを見ていると、アメリカと日本では法に対する感覚や関係そのものが大きく違うのではないかと感じていた。そのあたりなにぶん知識不足で漠然としていたのだが、白田秀彰氏の本誌連載の前回・今回で、英米と日本の法律の重みの違いをしっかりと説明してくれている。
「日本での法律はズッシリと重い。一度法律になったものを動かすには、その法律を別の法律で乗り越えるしか方法はない。だから、私たちの要求を実現する方法として、アメリカでの戦略をそのまま踏襲しているだけでは効果が薄い。日本ではアメリカ以上に法律を作る場で影響力を発揮しないとダメだということがわかるはず。そのために私たちに与えられている法律上の手段は「投票」しかない。」
<http://hotwired.goo.ne.jp/bitliteracy/shirata/040525/>  最近、法律に疑問や異議を持たれた方、ぜひ、ご一読を。


●5/18/2004

「Winny開発者の逮捕」をめぐって弁護団も結成され、すでに支援活動も始まっている。現状の著作権のあり方やネット上での情報流通のあり方など、投げかけられた問題は大きいが、感情的な議論に陥ることのないよう気を付けつつ、まずは、裁判が実りあるものになることに期待したい。
今回のような事件があると改めて、‘技術と社会’や‘個人と法’との関わりを考えざるを得ない。裁判の行方を注視しつつ、それとは別に、自分なりに考えをまとめていくしかないだろう。たまたま読んだMike Gancarz著『UNIXという考え方』にこんな文章があった。
「ソフトウェアを開発するにせよ、子供たちのためにより良い世界を築くにせよ、将来はガラス越しにしか見えない。いつか、すべての答えが分かる日が来るのかも知れないが、それまでは前進し続けなければならない。いつか、すべての答えを知る時がやって来るのかもしれないが、それまでは、一日ごとに「今日」が「昨日」になっていく日々を過ごしながら、将来に適応し、前進しつづけなけらばならない。
 UNIXの理念は、そういう将来に向かうアプローチの一つだ。その本質は柔軟であり続けることだ。嵐が何度やって来ても、風に揺れる木は折れることがない。」


●5/11/2004

 まったりとした月曜の朝、「Winny開発者を逮捕」のニュースに緊張。‘まさか’と‘やはり’の思いが交錯する。昨年末から、Winnyをめぐる締め付けは徐々に厳しくなっていたわけだが、著作権を侵害した本人ではなく、ソフト開発者を「著作権法違反の幇助容疑」というのは、法的にも議論の分かれるところで微妙だ。これから新たなイタチごっこが始まるのか、健全な「ファイル共有ネットワーク」の構築へ向けてのステップとなるのか要注目。
 また・・Winnyといえば、白田秀彰氏の本誌連載で言葉も思い出す。
「政治的匿名発言に使うことのできる聖剣を、違法な情報交換という錆で覆ってしまわないために、私たちの手元から磨き続ける必要がある。私たちは、好奇心過剰で、利己的かつ利他的な生き物だ。エロ・グロ情報や、ワレズものを共有することは楽しいことかもしれない。でも、それらが、私たちの自由を支えている究極的な根幹を汚しつづけていることを、エンター・キーを押す瞬間に思い出してほしいのだ。」
<http://hotwired.goo.ne.jp/bitliteracy/shirata/030624/>


●4/27/2004

 以前から、BEGINが発案した楽器「一五一会」の動向が気になっていた。近年、CDの売り上げの激減が問題となっているが、いっぽうで、音楽の消費者から生産者へと、‘音楽を愛する形’が変わってきているように感じている。周囲でも、気軽に演奏を楽しむ人たちが増えているし。そんな需要に、「一五一会」は確実にフィットしているように思う。BEGINの比嘉栄昇が「一五一会」を発案するにあたってこうコメントしている。
「世界中でギターを弾こうとして挫折した人は沢山いるのではないかと思いを馳せていました。あ〜三線の気楽さでギターのように弾き語れる楽器があったら、みんなの暮らしがもっと明るくなるのに、、、。そう思ったとたん、「そうだ、三線とギターをチャンプルしよう」とひらめいたのです。」
 この「一五一会」を製作しているのが、あのヤイリ・ギター。良質なギターを作ることで評判のメーカーだが、質へのこだわりから、「一五一会」も生産が注文に追いつかない状態だったらしい。そこで廉価版の「音来」が発案された。この製作にあたっての苦労は、先日、NHKのドキュメンタリー番組で放映されていた。多くの人に楽器を楽しんでもらいたい、という気持ちと、最低限の質を守りたい、というヤイリ・ギター社長の葛藤が感動的だった。
 「音来」は現在予約中で、近日発売だが、発売以後の動きが楽しみだ。


●4/20/2004

 内田洋子著『イタリア人の働き方』を読む。ここ数年、ヨーロッパ(特にオランダ)のライフスタイルや価値観に興味があって、関連の本をいくつか読んでいるのだが、その流れで、今回はイタリア。社会福祉や、産業、教育の構造といったマクロな視点も面白いが、個人個人がどんな価値観を持って生活し、働いているのかを知るのは楽しい。
 この本は、ベネチア一の水上タクシー運転手、個人向けスタイリスト、年に1500本しか作らない生ハム職人、ローマで評判を呼んでいる靴磨きの女性・・など‘一人で仕事を始め、会社を興し、実績をつくり、名を知られるようになった’15人のイタリア人に取材したものだ。紹介された人々の言葉から感じられるのは、自らの仕事に対する強烈な誇りだ。あえて年間1500本しか作らない生ハム職人はこういう。
「生産規模をもう少し拡大すれば、何百倍、何千倍もの収入増につながるのですが、それでは私も他の大多数の普通の生産者になってしまう。現状で満足です。少量生産だがイタリアで最高品質の、無敵の生ハムを作れるほうが、ずっと誇り高いことだと思います。私がこの手で作り、商標印を押したハムを味わった人は、一生、その味を忘れないでしょう。」
 人口5700万人の国で法人登録が2000万社あるというイタリア。いわゆる「職人」的な価値観は、日本でもかっては強く残っていたはずだ。何か、捨て去りつつある貴重な価値観を思い知らされる。


●4/13/2004

 のどかないい季節だが・・イラクの状況が心配だ。
さて・・押井守監督『イノセンス』をようやく観る。宣伝期間が終わって、最近ではめっきり話題を聞かないし、もうすぐ劇場公開も打ち切りか(^^;)と思い、焦って観に行く。あまり期待してなかったのだが、始まった途端、画の力に圧倒される。やっぱり凄いわ。人に真似できない‘新しい’ものを創ろう、という力がみなぎっている。
 前宣伝によると、途中でプロジェクトに参加したジブリの鈴木敏夫プロデュサーが、『イノセンス』というタイトルや、テーマ曲、宣伝コピーを決めたというが、ことごとく外しているように思えた。内容からしても、やはりタイトルは「GHOST IN THE SHELL 2」のほうがしっくりくる。‘売りにくい’作品であることは確かだけれど。
 しかし、今年は、大友克洋の『スチームボーイ』も公開されるし、大作アニメが目白押し。これら数本が、今後のアニメを語る上で、新たな判断基準となりそうだ。海外での評価も楽しみだ。


●4/6/2004

 アメリカに入国する際、指紋と顔写真撮影の義務化する「US-VISITプログラム」の対象が、9月末までに短期滞在にも拡大されることになった。このプログラムがスタートした1月段階では、日本人の場合、長期滞在以外の観光、商用は対象外だった。
 もともと、アメリカは、バイオメトリクスを記録したパスポートを今年の10月までに導入するように求めていたのだが、各国が間に合わないと返答したために、期限を2年先送りし、この代替として始めたのが「US-VISITプログラム」だ。・・なんだかしばらくアメリカに行きたくない気分。
 そして、先週のWIRED NEWSでも「パスポートが世界規模のバイオメトリクスIDシステムに?」という記事も配信している。国連の専門機関国際民間航空機関(ICAO)は、パスポートの身分証明の標準としてバイオメトリクスを採用することを決定した。
http://www.hotwired.co.jp/news/news/20040401202.html
 テロ対策という名目のもと、急激に監視・管理の網は強化されている。その有効なツールとしてRFIDビジネスは、活性化しそうだけれど、プライバシー侵害を不安に思う‘感覚’にどう応えるかが、これから数年の課題になるだろう。


●3/30/2004

近所の公園で、ちょっとお花見。
さて・・「監視社会」をめぐって、気になる新聞記事が二つ。
EU加盟国で、「テロ防止のためのインターネットや電話のモニターすべきか」という世論調査をしたところ、賛成61%(そのうち、容疑者なら賛成40%、裁判所の監督下で賛成14%、全員をモニターすべき7%)、反対33%、わからない6%。容認する傾向は年々強まっている、という。安全の代価としてある程度の自由が制限されるのは仕方ない、という判断だろうが、「全員をモニターすべき」という意見が1割近くあるのは意外だ。
もうひとつ。東京の防犯用街頭カメラが2年で700台まで増えたという。渋谷のセンター街に10台、池袋西口に20台の2地区で、設置費用は計1億4千万円で都が負担。カメラの画像は、渋谷、池袋署と警視庁本部の生活安全総務課で監視。1週間保存し、捜査に利用する際は都公安委員会に報告する、という。
‘安全’と‘自由’の関わりをしっかりと各自で考え直す必要がありそうです。


●3/23/2004

 イラク攻撃が始まったからちょうど1年。昨年の今頃は、何度か、ピースウォークに参加して街路を歩いた。しかし、あれから1年、世界の状況はさらに悪化している、と言ってもいいかもしれない。都心でも、テロを警戒してか、警官がいたるところに配備されている。そんな風景にかえって、潜在的な緊張感の高まりを感じる。
 いっぽうで、世界各地の反戦デモに何万人もの人々が参加している様子が報道されていたけれど、そうした熱気は、もはや自分の周囲には感じられない。何かあきらめにも似た気持ちに支配されているようだ。かといって政府の方針に諸手を挙げて賛成している、というわけではないだろう。どんよりとした不安と諦観がまとわりつく。
それでも・・もうすぐ春ですね。


●3/16/2004

 昨年8月、日本原子力研究所から「世界初の水の高温熱分解による水素製造に成功」というプレスリリースが出されていた。技術的な部分がよくわからないこともあって、‘環境’の波にのって原子力を延命するための苦肉の策、と軽くみていたのだが・・先日、日米が本気で研究協力するという報道があった。
 05年以降に、アイダホ州に新設される高温ガス炉での水素製造に協力する、という計画だ。現在、水素製造は、天然ガスを高温で燃やして、メタンと水蒸気を反応させる「水蒸気改質法」が主流。これでは二酸化炭素が排出されるため、それ以外の方法がいろいろ検討されている最中なのだ。
 先日、WIRED NEWSでも、「トウモロコシを使った水素生成装置が示す、エネルギーの新たな可能性」という記事を配信したばかり。もちろんコストや現実性など多角的な視点から検討する必要があるが、放射性廃棄物や安全性を考えると、これから力を入れるべきなのはどちらか、明らかだと思うのだけれど・・。
 それにしても、「水素エコノミー」をめぐる技術開発は、今熱いです。


●3/7/2004

 このところ「知的財産権を強化しすぎると独占が進み、結局産業発展にマイナスになる」とか、「公的産業支援育成政策がうまくいくはずがない」と、様々な話題を呼んでいる政府の知的財産戦略推進計画。
 ここであらためて内閣官房知的財産戦略推進事務局による『知財立国への道』を読んでみる。コンテンツビジネスの発展、司法制度改革、産学連携、模倣品対策、大学発ベンチャー、法科大学院、知財高等裁判所、特許審査迅速化、医療特許、信託制度・・とこの計画が影響を及ぼす範囲は広い。
 そもそも、長引く不況からの脱出法の模索として目を付けられたわけだが、モデルとなっているのは、80年代以降、知的財産権を強化してきたアメリカだ。成功例として、ビル・ゲイツ、ディズニーの名が上がる。なにか「IT革命」が盛んに喧伝された時代の名残も感じる(^^;)。また、多くの府省にまたがる計画だけに、なにか将来の予算の奪い合い、という気がしなくもない。
 あまり‘立国’などど、鼻息が荒いと、かえってシラけるが、こうしたプランが少しでも社会をよりよい方向に転換してくれればいい。現実の「効果」だけ注視したい。


●3/2/2004

 三寒四温で・・風邪をひく(^^;)。
 さて・・キャス・サンスティーン著『インターネットは民主主義の敵か』を読む。原題「Republic.com」。インターネットが民主主義にとって、何がプラスで、何がマイナスかを考える。インターネットと民主主義をめぐっては、闇雲にネットの可能性を礼賛する時期はすでにその役割を終えて、より具体的な功罪を問う段階に入っている。
 特にこの本では、個人の嗜好に合わせてカスタマイズ化する情報伝達の在り方を問う。カスタマイズ化は、自分好みの情報だけ集めることができ便利で快適なことは確かだ。しかし、自分の避けたい話題や意見から自分を隔離させる点で、ネット社会が‘タコツボ化’し、‘分断化’しているのも事実。その傾向は、これからますます強まるだろう。
 そこで、サンスティーンは、思いがけない出会いや議論が可能な‘公園’のようなネット空間が必要だと言っているわけだが、その現実化に向けての具体案となると、なかなか難しいところ。すべてネットが原因というわけではないが、90年代以降、急激に社会の分断化が進む日本でも、これから大きな問題となる気がする。


●2/24/2004

 やわらいだ空気に気がゆるみます。
 さて、ようやく話題のポール・クルーグマン著『嘘つき大統領のデタラメ経済』を読む。邦訳書の刺激的なタイトルよりも、書かれている語り口は穏健だ。それでも、数多く出されたブッシュ政権批判本のなかでも、これだけの説得力と迫力を持つものは稀だ。
「アメリカを現在支配している勢力の中枢は、長年築き上げられてきたアメリカの政治・社会的制度など原則として存在しなくてもいいと考え、我々が当然だと思い込んできた社会的ルールまでも否定していることの証拠は十分にある・・」
 経済学という基本をベースに、広範な分野に目配りをし、長い歴史経過の中で、現在がどうあるのか、ということを考察し、感情に飲み込まれることなく、冷静に分析しようとする姿勢がこの説得力を生みだしているのだろう。感情に支配された‘批判’は、かえって読み手をシラケさせる。
 その点でも‘日本のクルーグマン’が、求められていると思う・・。


  ●2/17/2004

 なんだか、毎年、春一番がやってくるのが不思議な気がします・・。
さて・・海外で生産された音楽CDの逆輸入を規制するために、著作権法を改正するという。シングルCD販売は、98年をピークに、以降急激に下落し、今や3分の2に落ち込んでいる。こうした事態に危機感を持った業界が、働きかけたのだろう。再販制度に加えて逆輸入禁止という二重の保護政策を取っている国は稀だそうだが、音楽を愛する者と、音楽産業の思惑は離れるばかりだ。
 音楽のネット配信が日本でも定着化することが見込まれているが、問題は、流通の方法ではないように思う。‘音楽を愛する者’の生活、という時、思い出されるのは、昼の農作業の後、ガムランを演奏するために集うバリの人々、タンゴを踊るためにダンスホールに集うアルゼンチンの老若男女、津軽三味線を聴きながらお酒を傾ける青森の民謡酒場・・といった光景だ。
 マーケット中心のこれまでの流れとは一線を画して、音楽を楽しむ人々の形は再び変わっていく気がする。これから成長が期待されるのは、サイレント・ギターとか、音楽スクールのような、誰もが音楽を作り出せるような場を支援する分野だと思うが、どうだろう。


●2/10/2004

 第9回 AMD awardの授賞式に参加させていただく。この「AMD award」は、「2003年の1年間に発売または、発表されたデジタルコンテンツやデジタルメディアのサービスを対象として、制作者を中心とした業界の視点で評価し、優れた技術・表現を持つ作品、そしてマーケットの発展に大きく寄与した作品の各制作者・開発者を表彰する」というもの。 97年にHotwired Japanも受賞したことがある。未開拓の分野で試行錯誤していたところに、何か認知を得た気がして少しほっとしたことを思い出す。
 今回は、審査員として参加。事前の審査会で、「はてな」を大プッシュしたところ、近藤淳也さんがベストプログラマー賞に決まった。そんな縁で授賞式で講評を述べさせてもらう。ちなみに、グランプリは、「着うた」。
 授賞式の後、近藤さんとお話できてよかった・・。日本初の独自のネットコミュニティ、ウェブログのスタイルを作り、着々と発展を遂げている「はてな」のこれからに、さらに期待します。


●2/3/2004

 眼精疲労で、モニターを長時間眺めるのが辛いです・・。みなさんもご注意を。 さて・・たまたま行ったmuji.cafeで、「間取り計画」というCD-ROMを配っていたのでもらってくる。部屋のサイズ、間取りに合わせて家具配置のシミュレーションが出来るソフト。立体図も確認でき、よく出来ている。引っ越しの時などに、紙を切り抜いて家具のレイアウトを試したことがあったけれど、このソフトは便利そうだ。ネットでもできる
 そういえば、データベース以外のCD-ROMを使ったのは、ずいぶん久しぶりだ。このCD-ROMの場合、シミュレーション結果をプリントアウトして無印良品の店舗に持って行くと、購入金額合計の5%オフになる、というから売り上げにも貢献しそう。アイデア次第で、まだまだCD-ROMにも使い道があるということだろう。


●1/27/2004

 井熊均著『燃料電池ビジネスの本命“住宅市場”を狙え!』を読む。燃料電池ビジネスは、動きつつあると思っていたがすでにここまで来ているとは・・驚きだ。
 燃料電池というと、今は燃料電池車が思い起こされるが、比較的コストダウンのハードルが低い住宅向けのもののほうが、早くブレークするかもしれない、という。政府の燃料電池導入目標は、2010年までに累積で210万kw、2020年までに1000万kw。210万kwは電力9社の発電設備出力の5%にあたる。さらに燃料電池は、多くの家電に組み込まれ、電化製品はコンセントが必要なものと不要なものに2分化されていく、という。
 住宅向け燃料電池が各家庭に設置された社会をイメージすると、それはとても刺激的なものだ。大規模集中型のこれまでの発電システムの弊害から解放されるだけでなく、将来的には化石燃料への依存からも脱する可能性も開ける。燃料電池が一般化したとき、社会に与えるインパクトは、インターネットが‘革命’と言われた以上のものになりそうだ。


●1/20/2004

 週末、NHK-BSで「放浪職人“ヴァルツ”が行く」を観て驚く。ドイツのマイスター制度は、厳しいものだとは聞いていたが、これほどとは・・。
 マイスター制度は、徒弟、職人、親方(マイスター)と3階層に分かれていて、親方になるために、工房での3年の労働か、3年と1日の放浪修業が課されている。若者は、歩いて(もしくはヒッチハイク)各地の工房を回り、技術を磨く。運良く職が見つかり、そこで大工や家具職人としての仕事が見つかればいいが、そうでなければ野宿をしなくてはならない。
 11世紀から続くというこの制度は、他にも厳しい決まり事がある。放浪するときの服装は、古くから伝わるコールテン素材の黒色のジャケット、パンツにベスト、そして白いシャツと黒い帽子。持ち運べるものは、着替え一式とわずかな下着。親の葬式以外は故郷に帰ることは許されない。こうしてドイツだけではなく周辺各国まで放浪した後、マイスター試験を受け、その試験に合格して始めてマイスターの資格を得ることができる、という。
 プロテスタントの「働く倫理」が関係あるのだろうが、技術だけではなく、職を得ることの難しさや働く喜びを感じることが重要だ、ということなのだろう。こうした厳しい修業の上に成り立つマイスターは、社会的にも、医者や弁護士同様の高い地位だという。職人へのこうした尊敬の念があるからこそ、家や家具も、貴重な財産として長い間丁寧に扱われるのだろう。美しい家並み、街並み、の背景にはこうした制度、意識がある。
 ヨーロッパの奥深さを垣間見た思いだ。


●1/14/2004

 先週から、アメリカ入国の際に、指紋と顔写真撮影の義務化する「US-VISITプログラム」が始まった。WIRED NEWSでもたびたびこの動向をお送りしていたので、実際の運用が気になっていた(現在、ビザが必要な入国者が対象で、日本人の場合、長期滞在以外の観光、商用は対象外)。
 このプログラムに対して、「外国人をすべてテロリスト扱いするのか」と特に南米の国々で大きな反発が起きているが、外国人だけでなく、すべての航空機利用者への監視の強化が始まっている。監視カメラや新型ボディスキャナーなどさまざまなセキュリティチェックツールが、ぞくぞく導入されているのだ。
 ここ数年、アメリカで嬉々としているのは、セキュリティ関連産業と軍事産業だろう。この流れは、9.11以降、というよりも、ブッシュ政権以降と言ったほうがよさそうだ。クリントン政権下で、冷遇された軍事産業が一気に盛り返している。
 今年のアメリカ大統領選は、世界情勢だけでなく、数年先のビジネス動向を考える上でも、大きな影響力を持つことは間違いなさそうだ。


●1/6/2004

 あけましておめでとうございます!
紅白歌合戦の視聴率下降の流れは、止まらないようだ。今回は、格闘技番組の健闘によるところが大きいのだろうが、社会の価値観の多様化に「国民的番組」というかってからの在り方が、すでに成り立たなくなっているのだろう。情報量が多い音楽業界には、特にこうした傾向が顕著になる。
 大げさに言えば、「隣の人が何を考えているのかわからない」という状態は、ますます強まりそうだ。こうした傾向は、治安の悪化やテロへの不安から、一気に安易なセキュリティの強化へとなだれ込みそうだ。
 今年の展望として以下の3つを考えた。
●テロの不安と治安の悪化が、セキュリティの強化へ
●ユビキタス・コンピューティングで、プライバシー問題が浮上
●ソーシャル・ネットワーキングのサイトが日本でもブームに?
 Hotwiredは、長期的な視点から将来の動向を考えて行きたいと思う。
みなさん、今年も、よろしくご愛読ください!
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