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2005年11月19日

●稲葉振一郎『「資本」論』

 このところの関心のひとつの「サイボーグ」つながりで、以前送っていただいた稲葉氏の新刊のエピローグに、面白い"サイボーグ論"があったことを思い出しメモ。

「我々の社会においては、いまだ端緒的なものではありますが、一部で「ポストヒューマン」と呼ばれているような動向ーーリベラルな価値観・社会観と両立する形での、人間改造への志向が高まりつつある、と言えます。(略)
 リベラルな社会での、市場経済の論理にのっとった人体改造は、当然のことながら、財産の格差に基づく不平等を、より一層強めます。(略)
 本格的な遺伝子操作やサイボーグ化により、人間が互いに物理的・生物学的に著しく違った多様な存在へと分岐してしまえば、当然に感受性のありようもまた分岐していかざるをえないでしょう。しかしそうなってしまえば、ヒューム的、スミス的な意味での共感の可能性は損なわれていき、ひいては「人間同士」という(略)公共圏もいよいよ解体に向かっていくでしょう。」
この本の本筋は、
「私的所有、市場経済、そして資本主義という秩序は、生身の人間存在に対してかなりのストレスをかけるものである。それでもなお私的所有という形式と、市場経済という社会の場は基本的に肯定されなければならない。大した財産を所有していない人間であっても、あえて労働力=人的資本という資産を所有する者として、この私的所有、市場経済、資本主義の秩序が支配する世界のうちに踏みとどまるべきであり、私的所有という制度そのもの、市場という仕組みそのものを拒絶し捨ててはならない。」
というひじょ〜に刺激的なものなんだけれど、教養のない者にとっては、トマス・ホッブズ、ジョン・ロックからか〜、という戸惑いも読み始めにはあって、基礎なきへたれ向けに、「なぜ今、この本が書かれたのか」という、プロローグのプロローグがあると嬉しかったです・・。

投稿者 esaka : 2005年11月19日 20:53

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